インハビット:革命的な生のためのガイド

Inhabit Global

二つの道がある。

世界の終わりか、新しい世界の始まりか

君は選なければならない。

ルートA:世界の終わり

終わった。

頭を垂れよ。

そして

スマホをいじりながら

世界の終末をスクロールしていろ。

スマホで見ていろ。GAFAMがすべてをAIに置き換える。新しいカルト宗教が登場し、オウムや統一教会は子供の遊びに見えてくる。政府が新しいGPSを開発し、移民や左翼の動きをリアルタイムで監視している。クラウドファンディングを使って、ファシストたちが、現代の強制収容所をつくる。公共サービスは崩壊する。政府はますます独裁化し、左翼は牙もないのにキャンキャン吠えている。

同じ頃、氷河が溶け、台風や山火事が多発し、地震や津波によって、都市が水没していく。新しいコロナが現れる。世界は終わるというのに、金持ちは依然として儲けつづけ、私たちの仕事は終わらない。そしてついに、地球上のすべての生命と共に、君は滅びる。その時に思い知るだろう——自分たちは何もしなかった、と。

ルートB:新しい世界の始まり

ひと呼吸

そして

新しい世界の

準備をしよう

仲間たち、スペース、そしてインフラが増殖していく。自分たちで物事を決めるテリトリーの地盤が作られていく。すべてのものはすべてのひとへ。大地はコモン(みんなの共通のもの)になる。テクノロジーがクラックされ、誰もが使えるものになる——あらゆるものが道具となり、武器となる。自律的な供給ラインができることで、「カネ」や「経済」に縛られなくなる。無料のメッシュWi-Fiネットワークが構築され、「新しい世界が必要だ」と感じる人々が、リアルタイムで繋がっている。

政府が崩壊する一方で、仲間たちのテリトリーは繁栄する。そこにあるのは、新たな感覚だ——「自由であるためには、地球や生命と繋がらないと」。GAFAMといったテクノ君主がもっていた領地は解放される。AIといった、独占されていた資源はみんなのものとなる。私たちは、痩せ細った右翼と最後の対決をする。勝負はふたつにひとつだ——地獄、それともユートピア?

どっちも望むところだ。

やがて私たちは臨界点へと到達するだろう——「自由」であることの危険、共に生きることの意味、奇跡的なものと未知なるものを感じる。そして、確信する——これこそが生なのだと。

準備せよ
自由な生を
この時代は、覚悟を決めた者たちのためにある
新しい世界へ

私たちの時代は波乱とチャンスに満ちている

動乱、分断、そして、政治とマーケットの破綻…。しかし、危機のあるところ、チャンスもまた育っている。この時代は、私たちひとりひとりに思考するように要求するからだ——いかにしてチャンスのコアを作るか、いかにして仲間の呼び声を聞き、群れを形成するか、考えろ。人びとは失われた技術を学び直し、戦士たちはふたたび世界に火をもたらす。百姓や庭師は有機農業を実験し、大工やハッカーは機械を改造する。インフルエンサーは嘘だらけのスポットライトを離れ、クルド人や元自衛官と共に食卓を囲い、みんなと共にある生を営もうとする。

国会の政治に絶望した人びとが、日比谷公園、釜ヶ崎、国会議事堂前で食事を共にする。ふだんは自分のご飯すらままならない居酒屋バイトが、千人分の料理を作ることを学ぶ。家から出られないSNS中毒者が、沖縄で元自衛官と出会う。ふたりは警察の催涙ガスによる洗礼を受けながら、共にあることの強さを感じ、トラウマはもうない。とてつもない孤独を生きていたはずの人びとが、共に立ち上がり、新しい生の形式を発見する。

しかし、チャンスが今にも芽生えようとするとき、それはつまらなさと恐怖によって踏み潰されてしまう。チャンスの芽は、機動隊、右翼、広告代理店によって暴力的に摘み取られる。あるいはそれを摘み取るのは、SNSのいいねのことしか頭にない連中かもしれない。そうこうしているあいだに、政治家や社長が勝ってしまうことになる。たしかに、私たちの時代には革命的なチャンスがある。けれど、私たちと自由とのあいだにあるハードルは、まだ高いものだ。

私たちはどこか壊れたところから来ているが、それでも立っている

この時代の無意味さ・ニヒリズムは、「場所」というものにかかわっている。あらゆるところで、基盤となる場所が欠けているんだ。世界を作りなおすための組織的な力を探し求めるとき、見つかるのは、弱さと冷笑に満ちた制度と政府だけだ。善意の活動家たちは、選挙ごっこや政党ゲームの空虚の中で絶望して、将来の展望のない暴れん坊になるか、ミニ政治家に成り下がるのが関の山だ。抑圧に対して声を上げる人々は結局、SNSのフォロワー競争に消費されることになる。社会運動は勃発しては崩壊し、寄生虫によって内側から食い荒らされる。

私たちが住んでいる都市は、環境破壊や戦争が起こるたびに居住不可能となる。あらゆる災害は、どんどん身近なものになっている——SNSでいつもスクロールするからでもあり、「ねえねえ、あれ見た?」のシェアがひっきりなしに来るからでもある。偶然の事故は、仕組まれた虐殺のように感じられる。犠牲者たちは、崩壊する世界の象徴のように思えてくる。そして、家族や友人が、中毒、貧困、絶望によって死んでいく。私たちは、警察が自由に殺人するのを目撃しながら、怒りをぶつけることもできない。私たちは、それでもなお、互いを支え合い、立ち続けようとする。私たちは、「現在が盗まれている」のだと、そして、「未来が運命づけられている」のだと感じる。すべてを解決してくれる救世主はいない。私たちは、革命が成長するための土台を、じぶんたちで、つくらなければならない。

私たちは、世界をやりなおす力をもっている

私たちは、毎日そして何世代も、変わらず労働しつづける——それでもらえる見返りは、日々の悪夢だけだ。満員電車や睡眠不足のストレスを感じながらも、魂を削ってなんとかやり過ごしている。給料日から給料日まで食いつなぎ、いつクビになるかわからないバイトを掛け持ちし、なんとか水道料金を払う。私たちの労働がこの世界を作り、動かしているはずなのに、私たちの誰一人として安定した生活を得られない。だからこそ無理もないのは、人びとが「君の人生をよくする」と謳うものに何でも没入していくということだ——SNS、社会運動、健康、漫画、アニメ、推し活、排外主義、ギャングなどなど。

私たちはまともな生を望んでいる。無感覚になった手を、人生の実験のために使うこと、たんなる仕事以上の何かの人生を望んでいる。この時代にチャンスがあるとすれば、それは、私たちがたんなる生存以上の能力を有しているということだ。私たちの労働力そのもの——私たちの力、創造性、知性——が、武器になり得るのだ。チャンスとは、ストライキする能力、そして、みんなで共有する力のうちにある。ストライキは、私たちの生き方をつくりなおすことの、直接行動となる——上司、金持ち、労働者を不要にするAIといったものに構う必要はもうない。ともに団結することで、私たちは、より良い生、じぶんでじぶんのことを決める生を作るためのノウハウと力を得ることができる。新しい世界を創造し、それに住まうことは私たち次第ということになる。私たちの創意工夫、情熱、決意が全てを決める——私たちこそが、あらゆる未来を切り開くんだ。

足りないものはない、周りを見渡して、形を与えよう

ひとかけらずつ、私たちは、革命的な力の基礎を組み立てようとしている。私たちが目指すのは、共なる生を築くこと、この時代が強制するような物質的・精神的な貧しさと闘うこと、そして、さまざまな生き方を直接的に実験しようとすることだ。私たちのゴールは、じぶんたちでじぶんたちのことを決めるためのテリトリーを確立することである——統治不可能な領域をどこまでも拡大することである。世界を横断して作られるテリトリーの動線こそが、私たちの進むべき道だ。自律的テリトリーによって、人材と資源がどんどん集まってくる。環境危機からの避難所が作られる。失われた技術やテクノロジーを取り戻す。

私たちの任務は、晴れ晴れとしたものだけれど、どうじに厳しいものでもあると思う。私たちのテリトリーは、危機に対応するインフラをそなえながら、集団的な喜びから生まれる何かであって、また、勇気と品位に満ちた生き方が息づくものであるべきだ。私たちの時代は過去とは違うのだから、昔のノスタルジアに浸っていてもしょうがない。全部の答えを知っているわけじゃない。しかし、真実だと知っていることはある。ここからは、そうした真実を分かち合いたいと思う。

今こそが脱け出す時だ、この耐えがたい生から。

1 お互いを見つける
2 交流するハブを建てる
3 回復力を身につける
4 未来を共有する
5 闘いを仕掛ける
6 ネットワークを拡げる
7 オートノミーを建設する
8 インフラを奪取する
9 統治不能になる

1 お互いを見つける

私たちは孤立し、敗北しつづけるような文化のもとで育ってきた。そこでは、私たちのポテンシャルが、カネによって限界づけられてしまう。不安、請求書、恐怖といった、個人的なものに押し潰されることで、私たちは、自分のことにしか目を向けられなくなる。しかし、私たちには異なる生を作る能力がある。

はじめに、ひとりであることをきっぱりとやめよう。くだらない言い訳はやめにしよう。近くにいる人に向かって、「一緒に生きるしかない」と言ってみよう。「一緒に世界に立ち向かおうよ」と言ってみよう。手持ちのものは何?必要なものは何?自分たちがもっている集団的スキル、能力、人脈のリストを作ってみよう。決断は、自分たちの力を強くするためだけに下すことにしよう。共なる生のための基盤を作っていこう。

まずは、個人的な境界を越える人生を想像してみよう。すると、生活の動線が変わってくるはずだ。それは、他の人間と意識的に接触するようなものになる。つかの間の出会いでしかなかったものが、ほんとうの友情になっていく。カフェへの道すがら、近所をうろついて、友達の家に寄ってみる。毎晩公園で待ち合わせをして、一緒に運動をする。お互いの家まで一緒に帰る。お互いの車をシェアする。キャンプに行って、火を起こすための方法(how to start a fire)を共に学ぶ。みんなが厳しい時を乗り越えられるように、みんなでお金をプールしておく。「私有財産」の概念が曖昧になっていく。こうやって、自分たちが、たんなる「仲良しグループ」なんてもの以上の、何か決定的なものに変化していることに気がつく。

2 交流するハブを建てる

ハブはみんなが集まるための場所であり、諸々の活動の中心だ。まずお互いを見つけたら、当然の成り行きとして、ハブを建てることが必要になる。私たちの組織化のために、また、共に過ごす時間を作るために、専用のスペースが必要になる。ハブは、人びと、資源、共同の精神を集めることができ、それによって共なる生の基礎が作られる。

資源を集め、エリアを絞り、ハブをスタートしよう。近所でスペースを借りてみる。森の中に小屋を建ててみる。空き家や空き地を勝手に使ってしまう。「小さすぎるスペース」や「野心的すぎるスペース」なんて存在しない。すでに手にあるもので始めて、それを増やしていけば良い。ハブを作ってそれを使うことで、何か創造的なことがどんどんできるようになる。

仲間が作った店がご飯会を主催し、やがてそれが活動計画の会議へと変化していく。グループが運営するカフェは、莫大な売り上げを、金儲けではなく、新しいスペースの建設のために使う。仲間の大工の木材店が生産するのは、本棚みたいなつまらないDIYをとっくに超えた大規模なものだ。町外れの森に空き地が作られ、毎週の焚き火と格闘技の練習でひとが集まるようになる。その近くにある有機農場では、町に住む仲間のための食料が少しずつ育てられていく。

3 回復力を身につける

身体はひとつの神秘であって、健康は自分で決められない。電気が消えれば、暗闇の中に生き続けるしかなくなるだろう。私たちは、技術、情熱、知識を奪われつづけている。とはいえ、私たちの身体は脆いわけではない。新しいスキルを身につけ、困難を乗り越えるとき、私たちは、じぶんの可能性の限界を塗り替えている。私たちは、「信じられないこと」や「あり得ないこと」をしでかす能力をもっている。

スキルを取り戻し、練習によって上達し、その力を共有しよう。みんなにとって重要なスキルをもつ人に連絡しよう。ハブやスペースをスキルの実験に使おう。新しい「ふつう」を作ろう。狩り、プログラミング、回復のスキルを学び、集団の力を高めよう。

大地震が町を襲う——電気が止まる。消防や自衛隊が相変わらず遅い。崩壊した地域の近くにハブが作られる。一緒に夕食を作ることで、一緒に動くための自信が湧いてくる。法がなくなった世界で、生存者のための食事を共に集める。そのためには、「金持ちだけが生き残るべきだ」と考える右翼と戦う必要もある。あるグループは病院と薬局から医薬品をかき集め、違うグループはマンションの貯水槽を開ける。公園を占拠してスペースにすることで、さらに多くの人びとと資源が集まるようになる。誰かが高層ビルの上に登り、自家発電で動くルーターを設置する。そのルーターはメッシュネットワークを作り、そのおかげで、遠い仲間のハブとも連絡がつくようになる。

4 未来を共有する

たったひとりの生活で尽くされる時代はもう終わりだ。私たちは災厄の可能性を共有している——世界の困難を私たちは共有している。必要な医療資源の分配についていくらでも叩くことができるが、ケアという資源がほんとうに普遍的で品位あるものになるためには、それは自分で決めるような、自律的なものでなければならないんだ。

共同的なケアを創造しよう。20年後の未来を意識して、組織化を進める必要がある。どんなものが必要になるか話し合ってみよう——年をとるとき、子供をもつとき、体が不自由になるとき、終末期に入るとき。必要なものはつねに変化するはずだ。欲求に基づいて意思決定をする必要がある。自分たちのスペースが、つねに変化する生活と闘争にどれだけ対応できるか考えてみよう。つらい問題からも逃げずに考えてみよう——狂気、中毒、仲間内の暴力、トラウマ、死といったものにどのように向き合うのか。犠牲はつねに出てしまうだろう。それでもなお、単純に国や制度に頼ることから、手を取り合って抜け出す必要がある。

世代を超えたネットワークは、生のあらゆる場面に対応するために、必要なものだ。さまざまな世代の人びとが集まることで、子どもたちを育て、教育し、助けることができる。老人たちへのケアが共同でなされることで、年上の経験を尊重することができる。ヘルスケアを専門とする集団が現れることで、自律的な身体との付き合いを探究することができる。人間感情を専門とする集団は、闘争からの休息が必要なメンバー、闘争に戻ろうとするメンバーを支えることができる。革命派の医者、植物学者、カウンセラーが、仲間たちのケアにコミットしてくれるだろう。

「とにかく病院に行って薬をもらうだけ」ということがなくなり、誰もが安心して休むようになる。国家的サービスの必要性がますます低くなる。生や死について歴史の中で与えられてきた異常な重みが取り除かれる。現代の資本主義がもたらすストレスや不安がなくなることで、そもそも病気が減っていく。新しいケアの能力を得ることで、共に未来に立ち向かうための共同的な力が立ち上がってくる。

5 闘いを仕掛ける

この社会は、正しいことのために立ち上がる人のことを悪く言う。「変わることなんてないんだ」、「自分のことだけ考えろ」、そして何より、「戦っても仕方ない」。この時代において、闘争心を育てるには、倫理的な指針に従うだけでなく、戦略的思考と身体を鍛える必要がある。

とにかく強くなろう。力が使える者になろう。ボクシングを学び、全てが武器になり得ることを知ろう。敵の力を破壊できるようになろう——ファシストを殴る動画でバズるところから出発して、仲間と一緒に敵のネットシステムを破壊するところまで。新しい生の形式の邪魔になるものは何なのか?それをどうすれば、仲間と共に、壊せるのか?敵に捕まらないために必要な戦略はどんなものか?

各都市に張り巡らされたファイトクラブのネットワーク。格闘家のメンバーが、ただのエクササイズだけでなく、実践的な寝技や打撃の技術を教える。それぞれのファイトクラブがそれぞれの場所で、地域の人びとと、そして、社会から見捨てられた人びとと絆を紡ぐ。東海地方のある柔術ジムは、AIによる人員整理に反対する自動車工場の労働者や移民労働者を仲間にする。仲間になった労働者たちは、AIのデータセンターを破壊する。使えるものをとり、残りは灰になる。工場から放出されたドローンは、すでにアプリによってハッキングしてあるので、警察の目眩ししてくれる。味方のドローンは敵のドローンに近づいて、プロペラを停止させるウイルスを送信する。混乱に乗じて、労働者たちとファイトクラブのメンバーは、逮捕されることなく脱出する。

6 ネットワークを拡げる

問題について対話するための組織が必要なんじゃない。必要なのは、その問題に対する具体的な解決策だ。私たちに必要なのは、ネットワークだ——各プロジェクトの力を増幅し、自分たちのテリトリーを広げ、未来を自分たちで切り開くための。

さらに広い規模で、お互いを見つけよう。自分たちと同じように組織化している人びとを探そう。強度と共同性をもった集団の萌芽を探し出し、接触しよう。手を差し伸べ、コミュニケーションを築き、訪れ、出会う。ストーリーと戦略を共有し合う——そうすることで、ネットワークの経験と知識、力が増大していく。異なるスペースとの物理的なつながりをつくり、それぞれがもっているリソースの交通を増やそう。そして、この交通を爆発的に増殖させていこう。時間をケチらずに何度でも足を運び、空が明るくなるまで話し続けよう——爆発的なコミュニケーションが生まれる。

ある攻撃的なテリトリーの姿はこうだ。実験的なバイオハッカーたちが浄水システムに革新をもたらす。地元農民のグループが電力会社による土地の破壊を阻止する。そして、自律的スペースが各所に都市農園を作り、近所の人びとを組織化している。三つのグループのあいだに頻繁な交通があることによって、みんなのニーズが満たされている。浄水技術が全体に共有されつつ、自律的な食糧インフラによって豊かな食事が可能になる。このネットワークは、地元農民が支援を求めるときには、いつでも攻撃的なものに転化する。暗号化メッセージアプリを使って、何千人もの人びとが闘争を支援するためにやってくる。

7 オートノミーを建設する

私たちが強いられているのは、生き残るために給料とチェーン店に依存するシステムだ。これは、資本主義のシステムだ——そこでは奴隷になるか、飢え死ぬかしかない。これは、逃げられない現実だ。すなわち、この世界の物質的な現実こそが、私たちが克服しなければならない問題なのだ。

自律的な主導権の範囲を広げよう。テリトリーを資本主義経済から解放するために必要なインフラを作ろう。集団的で物質的な力について考えよう——どうやってお互いを養い、どのようにお互いを住まわせ、どのようにお互いを回復させるか。「インターネットが救ってくれる」という嘘には騙されないようにしつつ、データとデザインを活用しよう。お金の虜にならないようにしつつ、金を回す戦略のもとで協同組合やNPOを作ろう。エネルギー、流通、通信、物流の問題に対して、具体的な数値のともなった解決策を考えてみよう。

地域の食品流通を専門とするスペースが、協同運営のスーパーを開店する。近くにある野菜農園がネットワークに加わることで、スーパーの品揃えと仲間が増える。普段は嫌々仕事をこなしているデザイナーとエンジニアたちが、チームを組んで、農場と流通拠点をつなぐサプライチェーンを支えるアプリを作る。こうして、自律的な流通回路が立ち上がり、Amazonや政府とは独立に機能するネットワークが増大する。食料と人びとが自由に流通する姿を前にして、政府は何もすることができない。食料だけじゃない、反乱の精神も爆発的に流通していく。

8 インフラを奪取する

私たちは、選ばれた少数だけを救いたいわけではない——私たちの運動は、この世界からの全員のエクソダス(脱出)だ。だとすれば、このクソみたいな世界を作っているインフラを問題とし、じぶんたちのためにそれを作り直すことが必要になる。いくつかのシステム——石油パイプラインや原発——は、完全に解体するべきだろう。たほう、私たちのオートノミーのために開放できるシステムもある。

すべてをハックしよう。現在のインフラが対応できない問題を解決することから始めて、既存の制度を奪取し、根本的に作り変えよう。死にゆくスペース——公民館、学校、公衆浴場、モール——を占拠して、そこに新たな息吹を吹き込もう。崩壊する制度を予測し、その崩壊をあえて激化させよう。通信システムを作り直そう。物資供給ラインを掌握しよう。統治することなく権力を奪取しよう。

金儲けを捨てた仲間の診療所が増えることで、薬品産業が変化していく。看護師、医師、事務員たちが協力し合い、密かに病院の薬品や物資を仲間の診療所に流す。政府が公立病院への助成金を廃止するなら、自律的診療所の仲間たちが、患者やスタッフと協力しつつ、全国の公立病院を占拠する。ある占拠では、過酷な弾圧によって、数十人が近くの大学病院に搬送される。怪我人を逮捕するために警察が治療室に入ろうとするが、医師たちによって追い返される。占拠された病院から溢れる力が、みんなに流れるようになる。病院とその医療資源は、展開されつつある大規模反乱のために使われることになる。

9 統治不能になる

革命とは、現在のうちに私たちがなぞっている線のことだ。

つまり、革命とは、将来のためにすべてを我慢することじゃなくて、今ここにおいてオートノミーを築くこと、政府と経済を不要なものにすることなんだ。統治から脱出することは、相次ぐ戦いに勝利すること以上の意味、政権与党を出し抜くこと以上の意味を持つ。統治不能になることは、私たちの能力に——共なる生のための基盤を創造する私たちの能力に——かかっている。

人生において、やらないでよいことをやらないで済むようにしよう。ゆっくりと、しかし確実に、ずっとつづけられるストライキを行い、周りの皆を巻き込もう。管理されることも、誰かを管理することも拒否しよう。社会の中心にくさびを打ち込もう。今までの冷笑と嫉妬をすべて捨ててしまおう。すべては可能だと信じよう。真剣にやるのがかっこいいことで、冷笑はダサいやつのすることだ。

ストライキがつづく——その中で、借金の不安から解放される。金融資本が、人民の怒りによって粉砕されたからだ。近隣住民の集会が、緊急事態の中での対応について決めるようになる。良心的な警官や兵士たちは、顔見知りへの発砲命令を拒絶する。政府は「犯罪」と言いつづけるかもしれないが、本当に起こるのは政府と資本からの「解放」だ。

都市部では、毎日がお祭りのようだ。占拠された銀座のメインストリートでBBQが開催される。通りにあった高級店が壊され、新しい共なる生のために作り変えられている。それは、資本主義を超える生の前触れを告げているようだ。夜になると、焚き火が遠くを照らし、東京では見られなかった星空がふたたび現れる。私たちを守りに来たかのようだ。

郊外では、イオンモールが無料の食料配給と組織化の拠点に生まれ変わっている。トラック運転手と救急隊員は、災害の被害を受けたテリトリーを助けるために集まっている。

田舎では、エンジニアたちが気球にトランシーバーを取り付け、みんなが使えるインターネットを増幅させている。資本から解放された労働力は、自律的農場の収穫量を増やしていく。そこで子どもたちは、ふたたび大地との付き合い方を学ぶようになる。

今こそ

私たちがそなえておくべき未来の危機なるものは存在しない。

私たちはすでにここにいる——あらゆるディストピア、あらゆる革命のチャンスとともに。私たちの時代の恐怖と美しい可能性とが、いたるところで展開されている。私たちは世界の終わりを止める——新しい世界を増殖させることで。私たちは統治不能になる——残酷な法律、崩壊するインフラ、悪意に満ちた経済、くだらないカルチャーには、もう用がなくなる。

私たちは、暴力を用いて、幸福への権利を宣言する——私たちの生は、物質的な力、管理への拒否、地球に住まうための能力、互いへのケア、そして、これらの真理を共有するすべての人びととの出会いの中にこそ、存するんだ。

生きること
オートノミーを
あらゆる場所へと
拡げる
そして世界に
住まうことができる
闘うこと
今がその時だ

奴らは言う——「人生が過ぎていくのを待っていろ」。そのとき、私たちが何になりえたのか、誰も知ることはない。

奴らは言う——「平和を守っていろ」。そのとき、地球、私たちの身体、そして幸福の可能性そのものに対する戦争が進行している。

奴らは言う——「ヒロイズムなんてもう死んでいる」。そのとき、奴らは自分が恐れているものを、死んだと言って安心したいだけだ。

あなたが必要だ。

私たちには、戦士、職人、思想家——創造性と技術が必要だ。

私たちには、大工、医者、農民、デザイナー、エンジニアが必要だ。

あなたが必要なんだ。

オリジナル(英語)はここから読める。